昨年、2022年末にイッセー尾形さんの一人舞台を観てきました。
イッセー尾形さんは、一人芝居において独自のスタイルを確立し、「一人芝居の第一人者」と呼ばれるほど凄い方です。映画やドラマでもご活躍されていて、現在(2023年)放送中の大河ドラマ「どうする家康」にも出演されています。私の大好きなドラマ「相棒」にも出演していましたね。水谷豊さんとの共演は嬉しかったです。
一人芝居を演じさせたらイッセー尾形さんの右に出る者はいません。私は子供の頃にイッセー尾形さんの一人芝居に出会い、今でも初めて観た時の印象が強烈に残っています。
この記事ではイッセー尾形さんの一人舞台を観てきた感想、そしてその凄さと魅力を紹介します。
イッセー尾形さんの一人舞台との出会い
当時小学生だった私は、一人舞台「イッセー尾形が見たい!」をビデオ録画していた高校生の兄と一緒に観たのが初めての出会いでした。頭から終わりまで台詞を覚えてしまうくらい、その芝居に心を奪われましたね。
「一人で芝居をする」と聞くと、落語のように一人で何人もの登場人物を演じるかと思われがちですが、一人舞台でイッセー尾形さんが演じるのは主人公一人だけ。そして、相手がいる体(てい)で話します。例えば…
主人公「〇〇だろ。…何? 〇〇をしてくれだって? いやだよ。(間をおいて)そんな睨むなよ。」
台詞や表情、目線など巧みに利用して、本当に隣に誰かが居るように感じられるのはイッセー尾形さんの圧倒的な演技力だからこそ出来るのです。一般的な舞台が「漫画」なら、舞台が進行するにつれて、周りの情景が浮かんでくるようになる一人芝居はまるで「小説」のようですね。
イッセー尾形さんの舞台は、ユーモアの中にどこか哀愁が感じられるのも好きなところです。個人的には哀愁のあるサラリーマン役が、イッセー尾形さんの一番ハマり役じゃないかな? と思ってます(笑)。
子供の頃に出会ってから数十年。様々な媒体で舞台を観てきましたが、生では観たことがなかったので、これは観に行かないと絶対に後悔すると思い、劇場に足を運びました。
まさに「イッセー尾形がみたい!」と思いました。
妄ソー劇場・すぺしゃるvol.4
場所は有楽町朝日ホール。「イッセー尾形一人芝居 妄ソー劇場・すぺしゃるvol.4」を観に行きました。
ロビーには開演を待つ人達で溢れていました。私より上の世代が多い印象ですが、中には若い人や未成年と思われる人も交じっていて、イッセー尾形さんが老若男女問わず愛されているのがわかりますね。
これは…お面? 仮面? イッセー尾形さんの作品でしょうね。そう、ロビーでは「イッセー尾形の作品&映像展【イッセーの文楽】」が開催されていました。
独創的な世界を楽しんでいるとまもなく開演の合図が。速やかに座席へ移動します。
開演前に観劇の注意事項についての放送が流れたのですが、その声がなんとイッセー尾形さん本人でビックリ! たぶん録音だと思いますが(もしかして生声?)粋な演出に思わずニヤリとしてしまいました。
本日の演目は7つ。楽しみ~。
このイラストもイッセー尾形さんが書いたものです。独特のタッチでイラストレーターにもなれそう。本当に多才な方ですね。
さて、いよいよ始まりますが、さすがにネタバレになってしまうので演目内容は伏せて、イッセー尾形さんの一人舞台の凄さと魅力を紹介させていただきます。
【詐欺防止留守番電話(Y’s電気)】
初めてテレビで観た時から、声や立ち振る舞いが全然変わっていないどころか、むしろパワーアップしているように感じました。70歳の古希を迎えられたとは思えない程、声量が凄い!
【中華屋のおばちゃん】
一人芝居の小道具は必要最低限の物しかありません。この演目はパイプ椅子と団扇(うちわ)だけ。後はイッセー尾形さんがまるでそこに在るかのように表現するのです。見えないビール瓶を持って、栓を抜き、コップに注ぐ…。 パントマイム顔負けの卓越したテクニックですね。手の動きが実に美しい。
【謝罪会見】
どの演目にも言えることですが、シチュエーション切り取りがマニアックですよね。それだけでもう笑いがこみ上げてきます。ちなみに演目と演目の合間、イッセー尾形さんが舞台上でピンスポットライトを浴びてそのまま着替えるのが一つの見どころになっています。カツラを被ったタイミングでクスクス笑いが起きたり、次の演目のキャラクターを想像したり、ここも含めてのエンターテイメントですね。
【高速道路男】
「自転車に跨ったおじさんが誰かと言い合いになっている」ところから演目が始まりました。説明がないのでどんなシチュエーションなのかさっぱりわかりません(笑)。観客はセリフを聞きながら状況を推理します。徐々に理解できていくところがミステリー要素もあってカタルシスを感じられます。これもイッセー尾形さんの一人舞台の大きな魅力だと思います。
【605号室】
人間の咄嗟に見せる仕草や声、表情などを巧みに演じるのが凄いです。「対面で会話している最中に電話が掛かって来る」演技が自然過ぎます。ホントに掛かってきたみたい。どれだけ人間観察をすればこの域にまで達せられるのでしょうか。
【立体紙芝居(雪子の冒険:浅草編)】
劇中、イッセー尾形さんが「間違えた」と照れる一幕がありました。何かの段取りの順番が違ったようですが、普段の芝居が自然過ぎるので本当に間違えたのか紙芝居屋の演技として間違えたのか最後まで私には判断がつきませんでした(笑)。
【没落貴族(斜陽)オーロラ銀座】
最後はギターを演奏する女性。楽器も弾けます。何でも出来るなぁ。「中華屋のおばちゃん」、「605号室」に続いて女性役を演じられてますが、声は男性のままなのに女性に見えてくるんですよね。これはもう演技を超えて憑依とも取れます。
笑いに笑い、大満足の7演目でした。イッセー尾形さん。やはりこの人は天才です…!
閉演後、ロビーではグッズ販売がされていました。
著書「シェークスピア・カバーズ」を購入。本も書ける才能に脱帽です。
その他ギャラリー
※画像をクリックすると拡大できます。
最後に
これで、バケットリストの『37. イッセー尾形の一人舞台を観に行く』を達成です!
- 落語を観に行く
- 劇団四季ライオンキングを観に行く
イッセー尾形の一人舞台を観に行く【達成】- SURFACEのライブに行く
- ドラゴンクエストコンサートに行く
嬉しいことにこの日はロビーでサイン会まで催されました。閉演して間もなくイッセー尾形さんがロビーに登場。疲れているでしょうに、本当にありがとうございます。
先ほど購入した本にサインを頂きました。一生の宝物にします!
そして最後、迷惑かなとも思いましたが、一言「面白かったです!」と声を掛けさせて頂いたら、ニコッと笑顔を向けてくれたのが嬉しく、何よりの宝物になりました…!
とらせいでした。
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