日本一の山、富士山。
観光で初めて見た時にその雄大さに圧倒され、いつか登ってみたいと思っていたあの頂にチャレンジしてきました。初心者の私にとっては2回目の登山となります。2回目がいきなり富士山です。
と言っても無謀な思いつきではなく近年日常的に筋トレを行っていて体力に少し自信があったのと登山熟練者の友人の見立てでゆっくり登れば大丈夫と言ってくれたので、よし登ってみよう!という決意に至りました。
ちなみに結論を先に言うと無事頂上まで登ることが出来ました。コースは初心者におすすめの吉田ルートです。
この記事は、登山初心者の私が富士登山(9月/夏山)に臨んだ記録となります。
服装や装備、荷物などの準備、タイムスケジュール、富士山にまつわる情報や注意点などを、体験を交えて時系列に紹介していきます。
もし、富士登山してみたいと思っている初心者の方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
服装
・帽子
・半袖シャツ
・インナーシャツ
・クライミングパンツ
・膝サポーター
・靴下
・登山靴
・帽子
日差しや日焼け、雨などから頭部を保護します。主にハットとキャップのタイプがありますが、私はキャップにしました。
・半袖シャツ
ハーフジップと襟がついたアウトドア用の半袖シャツです。汗を吸って重くならないようにポリエステル100%の生地を選びました。
・インナーシャツ
体にぴったりとフィットするスポーツ用のインナー用シャツ。こちらもポリエステル100%です。
・クライミングパンツ
ワークマンで購入しました。生地は丈夫で伸縮性があり登山にはもってこいです。
・膝サポーター
私は左足に負担が掛かるクセがあるのでスポーツ用のサポーターを左膝に付けました。必須ではありませんが必要な方はご用意を。
・靴下
友人に薦められてファイントラック社の「ラミースピンソックス(5本指/足首)」を購入。吸汗速乾、抗菌消臭、足にフィットします。
・登山靴
サロモン社のトレッキングシューズ「OUTpulse GTX」を購入しました。軽量、防水性も申し分なしで、靴擦れもしないので私の足にピッタリでした。
富士登山にはスニーカーではなく、必ず登山靴を用意しましょう。間違っても革靴やサンダルで登らないようにしてください。危険です。
装備
・ヘッドライト
・眼鏡ストラップ
・スマートフォンホルスター
・水筒ホルダー
・ゲイター
・トレッキングポール
・ヘッドライト
頭に付けるライトです。夜間の登山に必須なアイテムです。私は電池式ではなく充電式(USBタイプ)にしました。
・眼鏡ストラップ
眼鏡のズレ落ち防止になるスポーツ用のストラップです。私は眼鏡をかけているので失くしたら何も見えません。個人的に必須です。
・スマートフォンホルスター
いちいちリュックからスマホを取り出さずに済むので便利です。更にスマホとホルスターをストラップで結んでおけば落下・紛失防止にもなります。
・水筒ホルダー
登山中のこまめな水分補給は重要です。リュックの脇に水分をぶら下げてすぐ飲めるようにしておきましょう。
・ゲイター
靴の中に砂利が入らないようにズボンと靴の上に被せるカバー。スパッツとも呼びます。快適な登山を行うために絶対に用意した方がいいです。
・トレッキングポール
スキーのストックのような形をしていて、バランスをとったり負荷や疲労を軽減してくれます。上りや下りに合わせて長さを調節することも可能です。
初心者の方はトレッキングポールを使用することをおすすめします。トレッキングポールがあるとないとでは体への負担が全然違います。
荷物
・リュック
・リュックカバー
・レインウェア
・ウインドブレーカー
・ジャンパー
・手袋
・靴下
・タオル
・水分
・軽食
・モバイルバッテリー
・現金
・薬
・ゴミ袋
・リュック
必ずウエストベルトがあるものを用意しましょう。容量は30Lで充分です。私はモンベル社の「ゼロポイント グラナイトパック30」を友人から譲り受けました。
・リュックカバー
雨が降ってきた時にリュックに被せるカバーです。リュックの中身が濡れないように保護します。
・レインウェア
こちらも雨が降ってきた時に体を守るウェアです。晴れていても山の天気は変わりやすいので必ず用意しましょう。
・ウインドブレーカー
体温調節用に一枚あると便利です。厚さはシャツとジャンパーの中間のものが良いかと。
・ジャンパー
9月でも富士山頂付近は真冬並みの気温になります。冬用のジャンパーを準備してください。
・手袋
私は薄手と厚手のものを2種類用意。気温に合わせて薄手、厚手、時に両方重ね付けをしました。
・靴下
何かあった時の予備の靴下です。少し厚手のスポーツ用のものをリュックに入れておきました。
・タオル
スポーツタオルを2つ。マイクロファイバーで吸水性に優れたものにしました。
・水分
スポーツドリンク500ml×3本、お茶500ml×1本の計2リットルを持っていきました。荷物が重くなっても最低このぐらいは準備しておきたいところです。
・軽食
コンビニでおにぎり、パン、お菓子、カップヌードルを購入。パンやお菓子は塩分のあるもの、糖分のあるものを買いましょう。
・モバイルバッテリー
スマートフォンやヘッドライトを充電するのに使います。必ず使用するわけではありませんが用意しておくと安心です。
・現金
クレジットカードが使えるところもありますが、富士山は現金が基本です。小銭(100円玉)も用意しておいてください。トイレ等に使います。
・薬
頭痛薬や痛み止め。私はヘルニア持ちなので痛み止めを持参しました。あと怪我にも備えて絆創膏などもあると良いですね。
・ゴミ袋
軽食などでゴミが出ますので用意してください。私は大・中・小サイズを数枚持っていきました。
富士山にゴミ箱はありません。ゴミはすべて自分で持ち帰って下さい。ポイ捨ては絶対に駄目です。マナーを守って、きれいな山を汚さないようにしましょう。
富士スバルライン五合目
昼過ぎに東京から友人の車で出発し、夕方に富士スバルライン五合目に到着しました。私たちは「吉田ルート」から登ります。
【吉田ルート】最もポピュラーで定番のルートです。途中の山小屋も多く登りやすいため、初心者におすすめとなっています。
厚い雲に覆われた富士山の麓がチラリと見えました。しかし天候は生憎の雨。そこまで激しい降りではなく霧雨と言った感じですね。私たちが登り始めるのは深夜から。その頃には晴れる予報なので、信じて待つしかありません。
「五合園レストハウス」。団体ツアーが点呼や準備をしてました。彼らは今から登って途中山小屋に泊まる組ですね。
【五合園レストハウス】吉田ルート登山者の基地となる場所です。お土産を買ったりレストランで食事をとったりも出来ます。
レストランで少し早めの夕食。腹が減っては登山は出来ぬ!
なお、私たちは日付が変わる深夜0時に登り始め、途中泊まりは無しで頂上を目指します。それまでの数時間は高山病対策のために車中で仮眠を取って体を慣らします。ここは出発地点とは言え、すでに標高2305mですからね。
初心者の方は五合目等の低地にしばらく留まり、高山病の症状が出ないかチェックしてください。高山病の症状(頭痛、めまい、嘔吐等)が出た場合、登山を中止するのも勇気です。
車中の仮眠、なかなか寝付けません。私が車中泊に慣れていないということもありますが、念願の富士登山なので、ウズウズ、ワクワクの方が大きく興奮状態でした(笑)。せめて目だけでも瞑って鋭気を養いましょう。天候が回復することを祈って…。
…5時間後。
23:00。
車外に出ると頭上にはきれいな星空が。よし!晴れた!高山病の症状もなく体調万全です。
辺りは大勢のツアー客もいなくなってまばらです。さあ、人生初の富士登山。頑張るぞー!
時刻は23:56。ちょうど日付が変わる時に登り始めます。わかりやすいですね。
スタートした勢いで思わず前のめりになるのを抑え、一緒に歩く友人に倣って、歩幅を小さくゆっくり歩みを進めます。正直、こんな序盤からこのスローペースなの?と思いましたが、友人曰く「一定のペースで行くのが大事。最初に飛ばすと必ずバテる」とのこと。
呼吸を荒げないよう、無理のないペースを維持しましょう。歩幅は小さくゆっくり一定で。先は長い。焦らない。
泉ヶ滝に到着。ここで分岐ですね。Y路の右側へ進みます。
誤ってY路の左側へ行かないよう注意してください。
六合目
六合目は少し道が急になり、樹林帯や落石避けのシェルター内を歩いていきます。
シェルターを抜けると「安全指導センター」が見えて来ました。
【安全指導センター】スタッフからパンフレットを渡され、登山の注意点を聞きました。センターは24時間開いていますので必ず立ち寄り説明を受けましょう。
センターには仮設トイレが併設されていました。
トイレを使用するには200円かかります。維持管理に必要だからです。予め小銭は用意しておきましょう。
センターから遠ざかると、また辺りが闇に包まれたので、試しにヘッドライトを消して見上げると満天の星空が。こんな綺麗な星空を肉眼で見たのは初めてかもしれません。…スゴい!!
七合目
七合目の最初の山小屋「花小屋」まで、しばらくジグザグ道になっています。一転「花小屋」からは、急な岩場が続きます。それでもペースを崩さず、ゆっくりと歩幅を小さく登っていきます。何度か後続に追い抜かれましたが気にしない。前回の「雨巻山」で私は学びました。
後続者が近づいてきたら、脇に避け道を譲りましょう。登山ペースは人それぞれ。競争したり張り合うものではありません。
- 1:09花小屋(2,700m)
- 1:42日の出館
「日の出館」に到着。ここでちょっと腹ごしらえ。おにぎりを2個頂きました。体を冷やさない為、10分くらいの小休憩です。以降も10分置きぐらいの間隔で山小屋が続きます。
- 1:52七合目トモエ館
- 1:58鎌岩館
- 2:10富士一館
- 2:18鳥居荘
- 2:30東洋館
すべての山小屋で休憩する必要はないので、自分が休みたい時にだけ休みましょう。
そして岩場も続くので注意して登ってください。
岩場を登る時は足を上げすぎない。無理なところを登らない。遠回りでも安全なルートで登る。
八合目
八合目は更に岩場が急になってきます。
山小屋「太子館」。標高3100mです。
標高3,000mを超えてくると高山病にかかる人が多くなってきます。体調に注意を払って、こまめな水分補給と深呼吸を忘れずに。
- 3:07太子館(3,100m)
- 3:21蓬莱館
- 3:34白雲荘
「白雲荘」に到着。少しずつ気温も下がってきました。この日はほとんど風もなく、かなりラッキーでしたがそれでも防寒は怠らないようにしたいですね。
- 3:42元祖室
「元祖室」に到着。江戸時代から続く歴史のある山小屋だそうです。
ここで念願のカップラーメンを食す!山で食べるカップラーメンは格別と聞きますが富士山は別格ですね。体の芯から温まりました。更に上着と手袋もして防寒します。
本八合目
八合目を越え、次は九合目……………じゃない?! 本八合目?!
友人に聞くと八合目が一番長いらしいですね。さすが日本一の山。一筋縄ではいかないようです。
- 4:05本八合目富士山ホテル(3,400m)
- 4:26本八合目トモエ館
「本八合目富士山ホテル」。「本八合目トモエ館」。この辺の山小屋に泊り客が多いみたいですね。我々は素通りです。残念。
八合五勺
- 4:39御来光館
御来光館に到着。山小屋のネーミングに連動するように、夜が明けてきました。
闇と光が交じり合う、幻想的な風景。
そう言えば『ザ・マジックアワー』という三谷幸喜監督作品の映画があるのですが、「マジックアワー」は、日没後の太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな、しかし最も美しい時間帯を意味するそうです。シチュエーションは逆ですが、これも「マジックアワー」と言えるのでしょうか。
徐々に周囲も明るくなり、頂上も見えてきました!
雲海もすごいです。本当に雲の海という表現がピッタリです。「非日常」の光景をこれでもかと満喫しています。
下から日本の国旗をリュックに差した外国人が登ってきました。なんか嬉しくなりますよね。日本人として。すれ違い様に友人が「nice」と声を掛けるとニッコリ笑ってくれました。こういう交流もいいですね。友人、ナイス。
周囲の人も日の出が近いと判断したのか、岩場に座り込み御来光を待ってますね。私たちもここで待ちましょう。この時気温は5℃ぐらいでした。寒い…。
そしてついにその時が来ました。
人生初の御来光。…ただただ感激です。しばらく言葉を失い、ボーっと太陽が昇るのを眺めていました。
我に返り、御来光をバックにパシャリ。一生の記念ですね。
日が昇ると山肌が燃えるように真っ赤に染まりました。
僅か10分程度で太陽がもうあんなところに。
5℃だった気温もグングン上がり、一気に16℃になりました。力強いエネルギー、太陽の恵みを実感します。
九合目が見えて来ました。さぁ、あともうひと踏ん張り!
九合目
長かった八合目も終わり、九合目に到着。
風が無いので、雲海もピタッと止まってるように見えます。ものすごく大きな絵を見てるようで不思議な感覚です。
登る私の後ろ姿。表情が見えなくても疲労感が溢れ出てきてます(笑)。
でも安心してください。疲労以上に興奮していてテンション高いです。アドレナリン出まくりです(笑)。
白い狛犬と鳥居を越えると、ついに、ついに…!
吉田・須走口山頂
早朝6:08。富士山登頂!
登り約6時間。モザイク越しでも笑顔なのが分かります(笑)。それぐらい達成感がありました。
頂上は多くの人で溢れていました。土産物屋もあり、早朝から活気があります。
不思議な一体感。この場にいる全員、同じ苦労を共有しているので仲間意識が強まるのでしょうか。
空にはダイヤモンドのように輝く太陽が山頂を照らします。
火山口を挟んで向こうに見えるのは魔王の城。…じゃなくて「剣ヶ峰(けんがみね)」ですね(笑)。
【剣ヶ峰】富士山の最高峰。標高は3,776m。もちろん日本最高峰です。
友人から「体力残ってるならお鉢巡りする?」と聞かれ、即答でイエス。日本最高峰、剣ヶ峰を目指しましょう!
【お鉢巡り】火口の周りを一周することです。一周するのにかかる標準タイムは1時間35分と言われています。
この風景がドラクエ11の「天空の古戦場」にソックリ(笑)。元ネタ知ってる方は共感してもらえるかな?
火山口。大き過ぎて圧倒されます。少し怖いくらいです。
途中、「浅間大社」に到着。ここで30分ほど、大休憩を取りました。
雲海を眺めながらパンやお菓子を頬張り体を休めます。
神社は残念ながら閉まってました。早朝ですし仕方ないですね。
暑いのでジャンパーは脱いでウインドブレーカーに着替えました。
汗をかき過ぎると体を冷やす原因になります。気温や環境に合わせてこまめに着替えましょう。
かなり急な坂です。個人的に登りで一番の難所でした。体力消耗している人は左側の手すりを伝っていきましょう。最高峰は目の前です。
剣ヶ峰
剣ヶ峰に到着。…の前に写真撮影の順番待ちの列が。
30分くらい待ちました。景色も空気も天気も最高なので余裕で待てました。
最高峰の碑。
ここが3776m。日本で一番高いところなんですね。
ちょっと高い岩の上でポーズ。自分の上には青い空と白い雲しかありません。あらためて達成感が沸いてきました。最高ですね!
お鉢巡り再開です。
景色を存分に楽しみながら一周してきました。剣ヶ峰で待った時間差し引くと1時間ぐらいでしたね。
さて、名残惜しいですが下山タイムです。
下山道
下山道は1本50mぐらいの道をジグザグとひたすら繰り返します。地面は砂と砂利なのでゲイター必須です。
結構急で足の踏ん張りも利きにくい下り坂です。
つま先、特に足の親指にすごく負担がかかってる感じがします。少しでも足のつま先への負担を減らしたいと思い、靴下を二重にして、靴紐もしっかり結び直しました。
さあ、頑張るぞ!
雲の中に入り、草花も岩肌に見えて来ました。徐々に「下界」が近づいています。
途中、雨が降ってきました。小雨っぽいかな…? 荷物を降ろしリュックが濡れないようにリュックカバーを付けました。
(レインウェアにも着替えようかな? …うーん、早く下山したいし、着替えるの面倒だしウインドブレーカーのままでいいか~。)
↑あぁ…ここにきて初心者のダメな思考…。この後すぐに後悔することになります。
だんだんと雨の降りが激しくなってきて、ウインドブレーカーがずぶ濡れに。今さら着替える余裕もなく下山を急いでしまいました。
こういう時に集中力も無くなって…。
ズルッ
あっ…!
滑ったと思った瞬間、左親指に激痛が走りました。爪が剥がれた…? しかし靴を脱いで確認する余裕もなく、親指を庇いながら下山。後で確認した結果、剥がれてはいなかったのですが、爪の中が内出血状態。最後の最後で油断してしまいました。大反省です。
気温や環境に合わせてこまめに着替えましょう(2回目)。
最後(下山)まで集中力を持って油断しない。
富士スバルライン五合目に戻ってきました。
足の指は痛みますが、無事に戻ってこれてホッとしました。さて、お土産を買っていこう!
そして、富士登山の締めはお風呂です。
車で「富士眺望の湯 ゆらり」へ(着替えは予め車中に置いてました)。疲れた体に熱い温泉は格別! 生憎の天候で富士山を眺望することは出来ませんでしたが、
いやいや、登ってきたもんね。
と心の中でドヤ顔をしながら、半日の冒険を振り返りました。
その他ギャラリー
※画像をクリックすると拡大できます。
最後に
【活動データ】
タイム:11:38
距離:15.4km
上り:1689m
下り:1686m
約半日の活動でしたね。アラフォー初心者の私が、無事に登頂できた要因は幾つかあったと思っています。
・天候に恵まれた
当日はほとんどの時間が無風で、余計な体力を奪われることがなくラッキーでした。
・日常的に筋トレを行っていた
特にリングフィットアドベンチャーで鍛えた足腰は、想像以上に私を支えてくれました。
・登山の予行練習をしていた
雨巻山のトレーニングで得た経験が、心の支えになりました。
・バケットリストに掲げて目標にしていた
死ぬまでにしたいことの1つとして、達成してやろうという活力になりました。
- 南極に行く
- 宇宙に行く
富士山に登る【達成】- 無人島でサバイバルをする
- バンジージャンプをする
・一緒に登ってくれる友人がいた
何よりもこれに尽きると思います。恐らく私一人だけでは登れなかったことでしょう。色々とサポートしてくれてありがとう!
とらせいでした。
コメント